この記事を読むと、「どれだけ売れば目標の利益に届くのか」を単価ごとに自分で計算できるようになります。収入が伸びない原因を、努力不足ではなく値付けの設計として見直す視点が得られます。
収入は掛け算でできている
売上は「単価×販売個数」です。当たり前に聞こえますが、副業や小さな事業では、足りない分を個数で補おうとして働く量を増やしがちです。時間は有限なので、個数を増やす方法には天井があります。
もう一つの変数である単価を動かすと、同じ目標に必要な個数が大きく変わります。まずは考え方の土台になる「損益分岐点」から確認します。
損益分岐点とは何か
損益分岐点とは、売上と費用が一致して利益がゼロになる売上高、または販売量のことです。コトラが運営する「KOTORA JOURNAL」の解説記事(2024年8月19日)では、次の式が紹介されています。
- 変動比率 = 変動費 ÷ 売上高
- 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 − 変動比率)
出典: KOTORA JOURNAL「損益分岐点を攻略する!成功する経営者の必須知識」
変動費は販売数に応じて増える費用(材料費や手数料など)、固定費は売れても売れなくてもかかる費用(ツール代や場所代など)です。「1 − 変動比率」は、売上のうち手元に残って固定費と利益に回る割合を表します。
たとえば固定費が月3万円、変動比率が20%なら、損益分岐点売上高は 30,000 ÷ 0.8 = 37,500円です。ここまで売って、ようやく利益ゼロです。
単価で必要な個数はこう変わる
次は、目標を「月の利益10万円」として試算します。固定費は月3万円、変動比率はどの単価でも20%と仮定した、あくまで説明用の数字です。必要な限界利益(売上から変動費を引いた額)は、固定費3万円と利益10万円を足した13万円です。
| 単価 | 1個あたりの限界利益 | 必要な個数(切り上げ) |
|---|---|---|
| 1,000円 | 800円 | 163個 |
| 5,000円 | 4,000円 | 33個 |
| 10,000円 | 8,000円 | 17個 |
単価が10倍になると、必要な個数は約10分の1です。1,000円の商品で月163個を売るには、163人分の注文対応や集客が要ります。10,000円なら17人です。
単価を上げれば解決、とは限らない
ここで注意が必要です。上の表は「単価を上げても売れる個数は変わらない」と仮定した計算にすぎません。実際には、単価が上がるほど購入のハードルは上がり、成約率は下がります。
見るべきは次の2点です。
- 必要個数を実際に売れる見込みはあるか:163個と17個では、集客に必要な規模がまるで違います。
- 単価に見合う価値を示せているか:高い単価は、解決する悩みの大きさや成果物の質で裏づける必要があります。
安い単価で数を追うか、高い単価で少数に深く応えるかは、どちらが正しいという話ではありません。自分が確保できる時間と、届けられる相手の数に合う組み合わせを選ぶことが大切です。
見直しの手順
- 月の固定費を書き出す(ツール代、掲載料、場所代など)
- 1個売るごとにかかる費用(変動費)を割り出す
- 目標の利益を決め、「固定費+目標利益」を1個あたりの限界利益で割る
- 単価を2〜3通りに変えて、必要個数を比べる
- その個数を実際に集客できるか、現実的に検討する
この計算は表計算ソフトで数分あれば終わります。感覚で値付けしている場合は、一度数字に置き換えるだけで見え方が変わるはずです。
まとめ
収入は「単価×個数」で決まり、同じ利益でも必要な個数は単価次第で大きく変わります。損益分岐点の式で自分の数字を確かめ、時間と集客力に合った値付けを探してみてください。なお、本文の試算は仮定にもとづく説明用の例で、収益を保証するものではありません。