GeminiのGemsが、2026年11月から順次終了します。Gemに保存してあった「原稿チェック用の指示文」を、これからどう扱えばよいのか迷っている人も多いはずです。この記事を読むと、①Gems終了の最新状況、②AIに原稿の監査を任せるときの指示文の組み立て方、③コピーして使えるテンプレートの3点が手に入ります。AIが書いた文章でも、自分で書いた文章でも、チェックの型を一度作っておけば、確認の手間を減らせます。
なぜ今、原稿の監査を「型」にしておくのか
AIに文章を書かせても、公開前の確認は結局、人の仕事として残ります。誤字脱字、論理の飛躍、数字の裏付け、文体のぶれ。これらを毎回その場の思いつきで頼むと、チェックの観点が日によって変わり、見落としも出ます。
そこで有効なのが、チェックの観点を固定した「監査用の指示文」です。AIに何を見てほしいかを先に決めておけば、毎回同じ物差しで原稿を見てもらえます。ここで大事なのは「AIに直させる」のではなく「AIに指摘させ、直すかどうかは人が決める」という分担にすることです。
Gems終了で何が起きるのか
公開情報を整理します。Impress Watchの報道(2026年9月29日)によると、Googleは独自のチャットアプリを作れる「Gems」を11月から順次終了すると発表しました。終了の時期はアカウントの種類で異なります。
- 個人のGoogleアカウント:2026年11月
- Workspaceのビジネス・エンタープライズ・非営利団体向け:2027年3月
- Workspaceの教育機関向け:2027年6月
Gemは「Skill」に移行します。報道によれば、削除時に手持ちのGemは自動的にSkillとして再作成され、ユーザーが手動でSkill化することもできます。Skillの呼び出しはチャット画面で「/」に続けてSkill名を入力する形で、Geminiが現在のプロンプトに関連すると判断すれば自動で実行される場合もあります。別の解説記事(aipicks)は、同時に有効化できるスキルは100件までと伝えており、現時点では一部のツールと併用できない制約があるとも指摘しています。
つまり、何もしなくても自動変換される見込みです。それでも、指示文そのものはGemの中だけに置かず、メモアプリなどの手元にも保存しておくことをおすすめします。サービスの仕様が変わっても、文章としての指示文があれば、別のAIにもそのまま持っていけるからです。
監査用プロンプトの基本設計
原稿チェックを任せる指示文は、次の5つの要素で組み立てると安定します。
- 役割:「厳しめの校閲者」など、見る立場を一言で決める
- 対象と読者:誰に向けた、どんな種類の文章かを伝える
- チェック観点:見てほしい項目を番号つきで列挙する
- 禁止事項:勝手にリライトしない、など越えてほしくない線を決める
- 出力形式:指摘を表にするなど、返し方を固定する
特に効くのは4番です。何も指定しないと、AIは親切心から原稿全体を書き換えて返してきます。直された文章は一見きれいでも、元の言い回しや主張が変わってしまうことがあります。「指摘のみ」「修正案は短く添える」と明記するのがコツです。
コピーして使える監査プロンプトのテンプレート
以下は、上の5要素に沿って組んだ一例です。角括弧の部分を自分の原稿に合わせて書き換えてください。
あなたは経験豊富な校閲者です。以下の原稿を監査してください。
# 原稿の情報
- 種類:[ブログ記事/メルマガ/書籍の一章 など]
- 想定読者:[例:AIを仕事に使い始めた会社員]
- 文体:[です・ます調/だ・である調]
# チェック観点
1. 誤字脱字・表記ゆれ(同じ語の漢字・ひらがなの不統一を含む)
2. 論理の飛躍(結論に対して根拠が足りない箇所)
3. 事実確認が必要な箇所(数字・固有名詞・年号・出典のない断定)
4. 文体・トーンの一貫性
5. 冒頭で約束したことを、最後まで回収できているか
# 守ること
- 原稿を勝手にリライトしない。指摘と、短い修正案だけを返す
- 確信が持てない指摘は「要確認」と明記し、断定しない
- 良い点は最大3つまで簡潔に挙げる
# 出力形式
指摘を次の表で返す。重要度の高い順に並べる。
| 番号 | 該当箇所(原文を短く引用) | 観点 | 問題点 | 修正案 | 重要度(高・中・低) |
最後に「公開前に人が必ず確認すべき3点」を箇条書きで添える。
# 原稿
[ここに原稿を貼る]
「確信が持てない指摘は要確認と明記する」という一文を入れておくと、AIがもっともらしい誤指摘を断定口調で返すリスクを下げられます。
監査結果の使い方
返ってきた指摘表は、そのまま全部採用するものではありません。次の順で扱うと、判断がぶれにくくなります。
- 重要度「高」から順に、自分の目で原稿と照らし合わせる
- 事実確認が必要とされた箇所は、AIの答えではなく一次資料に当たる
- 修正案は参考にとどめ、直す文章は自分の言葉で書く
- 毎回出る指摘は、次回から原稿を書く段階で先回りして避ける
AIの指摘が外れていることも当然あります。監査AIは「見落としを減らす2人目の目」であって、最終判断をする編集長ではありません。
定着させるための小さな工夫
指示文は、使いながら育てるものです。次の3つを習慣にすると、少しずつ精度が上がります。
- 指示文に日付とバージョンを付けて保存し、変更の理由を一行メモする
- 誤指摘が出たら、「この場合は指摘しない」という例外を追記する
- 原稿の種類ごとに、チェック観点の部分だけを差し替えた版を用意する
Gemsが終わる今は、指示文を点検し直す良い機会でもあります。自動で変換されるかどうかに任せきりにせず、中身を読み返して、不要な観点を削り、足りない観点を足してみてください。
まとめ
- Gemsは2026年11月から順次終了し、Skillsへ移行する(個人アカウントが先、Workspaceは2027年)
- 自動変換される見込みだが、指示文は手元にも保存しておくと安全
- 監査用プロンプトは「役割・対象・観点・禁止事項・出力形式」の5要素で組む
- 「指摘のみ」「要確認は断定しない」と明記し、直すかどうかは人が決める
まずはテンプレートを一度、手持ちの原稿で試してみてください。
出典
- Impress Watch「Gemini『Gems』終了、『Skill』へ移行」(2026年9月29日): https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2144104.html
- AI Picks「GoogleがGemini Gemsを2026年11月に終了、Skillsへ移行」: https://aipicks.jp/news/20260929-google-gemini-gems-2026-11-skills