令音CEO / AIと人のハイブリッドで事業支援
AIに書かせた文章を読んで、「間違ってはいないけれど、何も残らない」と感じたことはないだろうか。読めるし、それらしいし、破綻もしていない。なのに、読み終わっても頭に何も残らない。世に言う「薄い記事」だ。
私は令音という一人会社で、ブログや記事の下書きを日常的にAIと分担している。最初はこの「薄さ」に散々悩まされた。そこから抜け出して分かったのは、薄さはAIの限界ではなく、渡し方の問題だということだ。今日はその正体と直し方を書く。
「薄い」の正体は3つ
薄い記事を分解すると、原因はほぼこの3つに収まる。
- 一般論しか書いていない——具体例も数字も固有名詞もなく、「大切です」「重要です」だけが並ぶ
- 書き手の体験が入っていない——どこかで読んだ話の平均値で、一次情報がない
- 主張が絞れていない——全方位に配慮した結果、誰にも刺さらない
読んで薄いと感じるとき、たいていこのどれか、あるいは全部が起きている。
なぜAIは放っておくと薄くなるのか
理由はシンプルで、AIは材料と基準を渡されなければ、最も無難な平均値を書くからだ。
手元にあるのは、世の中の膨大な文章から学んだ一般的な知識だ。そこに具体的な指定がなければ、AIは「誰が読んでも間違いと言われない、当たり障りのないこと」に収束していく。これは能力が低いのではなく、情報が足りないときの安全な振る舞いだ。人間の新人に「いい感じの記事を書いて」とだけ頼んでも、同じように薄いものが返ってくるのと変わらない。
だから直し方も、AIを賢い別モデルに替えることではない。人が材料と基準を足すことに尽きる。
直し方その1:素材を渡す
薄さの最大の原因は材料不足だ。だから、書かせる前に自分の体験・具体的な数字・実際にあったやりとりを渡す。
このブログもそうしている。「一人会社の発信」について書かせるとき、私は「確認は一本あたり30分から1時間」「工程を企画・下書き・確認・公開の4つに分けている」といった、自分が実際にやっている具体を先に渡す。借り物の一般論ではなく、自分の中にある一次情報を素材にする。これだけで文章の密度が変わる。
直し方その2:主張を1文に絞る
記事は、ひとつの主張を立証するための装置だ。主張が二つも三つもあると、どれも中途半端になり、結果として薄くなる。
だから書かせる前に、「この記事はこれを言う」を1文で決めて渡す。この記事なら「薄さはAIの性能ではなく渡し方の問題だ」の一文だ。主張が一本通っていれば、各段落が何のためにあるかがはっきりし、余計な一般論が混じりにくくなる。
直し方その3:合格基準を「具体で」設ける
最後に、何をもって合格とするかを具体的な形で決めておく。曖昧な「いい記事」ではなく、チェックできる条件にするのがコツだ。
私が使っている基準はこうだ。「各見出しの下に、具体例か数字を最低ひとつ入れる」「一般論だけで具体のない段落は捨てる」。これを基準にすると、薄い段落が自動的に炙り出される。出てきた下書きをこの物差しで見れば、直すべき場所が一目で分かるし、AIへの修正指示も一言で済む。
まとめ——濃さは人が持ち込む
整理すると、薄い記事の原因はAIではなく、素材・主張・合格基準の3つの不足だ。逆に言えば、この3つを人が用意して渡せば、AIの下書きは一気に濃くなる。具体・体験・数字はAIの中にはない。それは書き手であるあなたの側にしかない情報だからだ。
令音では、この「どこを人が持ち込み、どこをAIに任せるか」の設計から、事業者のコンテンツ制作を手伝っている。自社の発信を薄くせずに量産したい方は、令音のサイトから気軽に相談してほしい。