会議で発言したあとに「あれは言わなければよかった」と思う。相手の話を聞いていたのに、要点を外した返事をしてしまう。こうした悩みは、話し方の技術より前の段階に原因があるのかもしれません。
この記事では、2023年に刊行された『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著、ダイヤモンド社)について、出版社が公表している目次と、要約サービスの紹介文を手がかりに、本が何を問題にしているのかを整理します。読み終えると、この本を手に取る前に「自分はどの章から読むべきか」を判断できるようになります。
なお、ここで扱うのは公表されている書誌情報・目次・紹介文の範囲です。各章の本文の主張を詳しく論評するものではありません。
本の基本情報
出版社の書籍ページによると、著者の安達裕哉さんはティネクト株式会社の代表取締役で、発売は2023年4月、定価は1,760円(税込)です(ダイヤモンド社 書籍ページ)。
要約サービスflierの紹介では、安達さんはビジネスメディア「Books&Apps」の運営者で、デロイト トーマツ コンサルティングの支社長を務めたのち、3000社以上の経営者と向き合ってきたコンサルタントとされています(flier)。
出版社の内容紹介は、「どれだけ考えても、伝わらなければ意味がない」という問題意識から、コンサルティング業務で得られた知見をまとめた本だと説明しています(ダイヤモンド社 書籍ページ)。
目次から見える二部構成
同じ書籍ページに載っている構成は、大きく二つに分かれています。
第1部は「7つの黄金法則」です。章題を並べると、次のとおりです。
- 頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間
- 頭のよさを決めるのは「だれ」だ?
- コンサルが入社1年目でも経験豊富な経営者にアドバイスできる理由
- 頭のいい人は、論破しない
- 「話し方」だけうまくなるな
- 知識が「知性」に変わるとき
- 承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる
第2部は「5つの思考法」で、「客観視」「整理」「傾聴」「質問」「言語化」の各思考法が並びます。
章題から読み取れる三つの視点
目次を眺めると、話し方のコツ集というより、「考える順番」を問う本であることが見えてきます。断定は避けつつ、章題から読み取れる点を三つ挙げます。
1. 「頭のよさ」の判定者は自分ではない
第1部の二つ目の章題は「頭のよさを決めるのは『だれ』だ?」です。flierの要点紹介でも、「頭のよさを決めるのは自分ではなく他者だ」という視点が、この本の核のひとつとして挙げられています(flier)。
自分がどれだけ考えたかではなく、相手にどう受け取られるかを起点にする。話す前に考えるべきことは、自分の言いたいことの整理だけではない、という含みがあります。
2. 信頼は「考えてくれている」という感覚から生まれる
flierの紹介には、「この人、我々のためにちゃんと考えて"くれて"るな」という感情が信頼につながる、という趣旨の記述があります(flier)。
賢く見せるための発言と、相手のために考えた発言は別物だ、という整理です。同じ紹介では、賢いふりは逆効果で、相手のために真摯に考える姿勢が信頼をつくる、とも書かれています。
3. 話し方の前に、感情と思考の順番がある
第1部の章題には「頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間」「頭のいい人は、論破しない」「『話し方』だけうまくなるな」が並びます。flierの紹介でも、怒りの中での判断は誤りやすく、反射的な発言は取り返しのつかない事態を招く、という趣旨の法則が最初に挙げられています。
反応する前に一拍おく。相手を言い負かすことを目的にしない。表面的な話術だけを磨かない。章題だけを見ても、話す前の思考の質を扱う本だという方向性は一貫しています。
どこから読むかの目安
目次の構成から、悩み別の入口を考えてみます。あくまで目次からの推測であり、実際の章の内容は本で確かめてください。
- 感情的に反応してしまいがちな人は、第1部の最初の章題にある「頭が悪くなる瞬間」から
- 議論で相手との関係がこじれがちな人は、「頭のいい人は、論破しない」の章から
- 聞く・問う・まとめるといった具体的な動作を身につけたい人は、第2部の五つの思考法(客観視・整理・傾聴・質問・言語化)から
まとめ
『頭のいい人が話す前に考えていること』は、目次を見る限り、話術の本ではなく「話す前の思考」を扱う本です。頭のよさの判定者は他者であること、信頼は「考えてくれている」という感覚から生まれること。この二点が、公表されている紹介文から確かに読み取れる中心的な視点です。書店で手に取る際は、自分の悩みに近い章題から開いてみるのがよさそうです。