月100万円を「頑張り」ではなく「設計」で考える
副業で月100万円という目標は、労働時間を延ばすだけでは届きにくい数字です。宝島社の『「ビジネス自動化」でお金と時間を手に入れる ストレスポイ捨て起業術』(たつみん著)は、この問題を「仕組み」の側から扱う一冊です。この記事を読むと、①同書が示す7ステップの骨格、②月100万円を「単価×個数」に分解する考え方、③収益実績を掲げる情報を読むときの注意点、の3つが分かります。なお、同書の内容は出版社の紹介文と公開されている要約・書評をもとに整理したもので、本文の全文を確認したものではありません。
「1日1時間・年収6,000万円」という同書の主張
宝島社の書籍ページによれば、同書は2022年10月24日発売、四六判224ページ、定価1,650円(税込)です。内容紹介は、元ブラック企業のサラリーマンで借金1,800万円を抱えていた著者が、1日1時間以下の労働で年収6,000万円を達成した方法を解説し、見込み客の獲得から販売までを完全自動化する「新・起業成功の方程式」を紹介する本だと説明しています。
ここで押さえておきたいのは、この年収や労働時間が著者本人の申告である点です。本稿では第三者による裏付けは確認できていません。実績の数字は「そういう主張がある」という事実として受け取り、再現できるかどうかは、次に見る「仕組みの順序」と、後半の「単価×個数」の計算で自分の条件に当てはめて判断するのが安全です。
要約記事から読み取れる7ステップの骨格
同書の要約を公開しているnote記事(二次情報)によると、事業づくりは農作業になぞらえた次の7段階で整理されています。
- 種まき:「自分でなければ生み出せない価値」を意識して副業を始める
- 耕作:本気で取り組み、実績をつくる
- 育成:副業の収入を本業並みに育てる
- 収穫:副業が本業に切り替わる段階
- 加工:自分の商品・サービスをつくって売る
- ブランディング&マーケティング:販売までの流れを仕組み化する
- 流通:仕組みができたら次の収入源をつくり、また仕組み化する
この並びから読み取れるのは、「自動化」や「仕組み化」が6番目に置かれていることです。最初の数段階は、実績づくりという地道な作業に充てられています。また、別の書評ブログ(2024年10月26日公開)は、同書が「最強の資産は知識・スキル、次に健康、お金は3番目」と位置づけていること、学んだことをすぐ誰かにアウトプットするのが最短の身につけ方だと述べていることを紹介しています。先に自分の力を育て、それを実績として積み上げてから仕組みに乗せる、という順序が一貫しています。
月100万円を「単価×個数」に分解する
収入は「単価×個数」の掛け算で決まります。目標が月100万円のとき、必要な販売数は単価によって次のように変わります(代金の合計だけを見た計算で、手数料・原価・税は含みません)。
| 単価 | 月に必要な販売数 |
|---|---|
| 1,000円 | 1,000個 |
| 1万円 | 100個 |
| 10万円 | 10個 |
| 100万円 | 1個 |
ここに購入率の仮定を置くと、負担の差がより見えます。仮に訪問者100人につき1人が購入するとした場合、1,000個売るには月に10万人、100個なら1万人、10個なら1,000人の訪問が必要になる計算です。この割合は説明のための仮の数字で、実際の値は商品や導線によって大きく変わります。それでも、低単価で数をさばく設計は、集客の負担が重くなりやすいことは確かです。
もっとも、単価を上げればよいという話ではありません。高い価格には「この人から買う理由」が必要で、その材料になるのが実績です。7ステップの2番目が「耕作」(実績づくり)であることは、この点と重なります。
単価と人数のトレードオフは、海外でも語られてきました。ケヴィン・ケリーが2008年に発表した「1,000 True Fans」は、作品なら何でも買ってくれる熱心なファンが1,000人いて、1人あたり年100ドルの利益があれば、年10万ドルで生計を立てられるという考え方です。ケリー自身、この数字は絶対的なものではなく、年50ドルなら2,000人といった具合に調整できると述べています。
収益実績を掲げる情報の読み方
「簡単に稼げる」「1日数時間で高収入」といった宣伝文句には、注意が必要です。国民生活センターは2018年8月2日、「簡単に高額収入を得られるという副業や投資の儲け話に注意!」を発表しました。それによれば、インターネット等で取引される情報商材に関する相談は、2013年度の872件から2017年度には6,593件へと7倍以上に増えています。寄せられた相談には、説明と実際の内容が違う、サポートが不十分、返金に応じてもらえないといったものが含まれています。
同センターが挙げる対処の要点は、購入前に中身を確認しにくい商品であることを踏まえて疑問を感じたら関わらないこと、高額な勧誘や説明との相違があれば契約を断ること、クレジット決済や借金での支払いは避けること、困ったら消費生活センターに相談することです。書籍の実績談を読むときも、金額が大きいほど、それが「誰の・いつの・何の売上なのか」を確かめてから自分の判断材料にするのが無難です。
自分の「単価×個数」表を作る一歩
同書の内容をそのまま実行できるかどうかは別にして、次の3つは今日から試せます。
- 自分が実際に解決したことのある悩みを1つ書き出す
- その解決法を売るとしたらいくらか、3段階の単価を決め、月100万円に必要な個数を上の表のように出す
- 最初の1個を売る前に、やったことの記録(実績)を残し始める
数字を並べてみると、目標までの距離と、いま足りないものが見えてきます。月100万円という大きな数字も、掛け算に分けてしまえば、次にやることは小さく具体的になります。