いただきますから既読スルーまで ――日本人行動源流辞典
私たちが当たり前に行っているしぐさや習慣は、どこから来たのだろう。 神道・仏教・儒教・アニミズムのどれか一つに答えを求めても、実像はつかめない。 本書は、日本人の100の行動を、成立した理由・広まった理由・続いている理由に分けて、 複数の源流が混ざる構造を読み解く一冊です。
本書が扱う100項目のうち、いくつかの「なぜ」を紹介します。
「いただきます」は、本当に命への感謝から始まったのか。
食前の挨拶として確認できるのは大正期から。感謝の相手は時代ごとに変わってきました。
「空気を読む」は、日本だけの行動なのか。
人物評価の言葉として広まったのは実は2000年代。「察し」の伝統と、集団を動かす暗黙の圧力が合流してできた言葉です。
電話が嫌いなのは、会話が苦手だからか。
避けているのは会話そのものではなく、予告なく中断され、その場で答えを求められる状況そのものです。
「既読をつけない」は、逃げているだけなのか。
返信義務が始まる時刻を自分で選ぶための行動でもあります。既読は受領の印であって、心の準備の証明ではありません。
10のテーマで、日本人の行動を分類しています。
100項目の中から、実際の本文を一部そのまま掲載しています。
「おじぎは首を差し出して敵意のなさを示したのが起源」という俗説を裏づける資料は、確認できない。実際は礼法、武道の型、学校作法、接客教育の重なりである。
忖度とは本来、他人の気持ちを推し量ることである。組織では、明示されない上の意向を読んで先に動く意味になった。命令した人がいないまま、事が実行される危険がある。
「人に迷惑をかけない」は強い生活規範だ。だが、誰にも頼らないことまで求めると、助けが必要な人が声を上げられない。配慮の規範は、孤立の規範へ反転する。
本書を読んで「なるほど」と思えるところがあれば、Amazonのレビューで感想を聞かせていただけると、次の本作りの励みになります。 特典等のお約束はできませんが、率直な感想をお待ちしています。
昔からの礼儀と、スマートフォン時代のふるまいを同じ地図の上に置くと、 日本人の行動の奥にある「文化の地層」が見えてきます。
※ペーパーバック版のリンクは、ASIN確認後に追加予定です。